0.3 本著の構成

本著は、全部で九章から構成されている。序章では、研究の背景と目的、主要な概念(日中同形語、二重誤用、定着度)の解説及び本著の章立てを紹介する。第一章では、先行研究を概観し、その問題点を指摘した上で、主要な問題点に対する修正を試みる。また、本研究の意義と位置づけを説明する。第二章では、本研究の研究方法(文献調査、日本語母語話者に対する定着度調査、誤用状況調査、中国語母語話者に対する定着度調査、出現頻度調査)を紹介する。第三章から第五章まででは文献調査、日本語母語話者に対する定着度調査(日本語としての日中同形語の定着度調査)及び誤用状況調査の実施概要とその結果を取りまとめる。まず、文献調査で二重誤用されやすい日中同形語にはいかなる語があるのか、という点を明らかにする。その上で、定着度調査により、日本語母語話者における認知度・理解度・使用率が共に高い日中同形語を抽出する。さらに、誤用状況調査で抽出した日中同形語の誤用状況、特に誤用傾向を把握する。第六章では、誤用の原因を突き止めるために、中国語母語話者に対する定着度調査(中国語としての日中同形語の定着度調査)と中国人日本語学習者が使用している日本語テキストにおける日中同形語の出現頻度調査を実施する。第七章では、誤用が生じた原因を分析し、主に日本語教育の視点から誤用防止対策を提示する。第八章は終章で、本研究の内容を取りまとめて全体的な結論を導き出した上で、今後の課題を提示する。